成約インタビュー

自分の想いを継いでくれる方が現れた

介護を通じて、社会貢献したいという思いで創業

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-あんずの木の創業までの経緯について教えてください

私は、松本市(旧波田町)に生まれ、高校卒業後に製造業で品質管理を行ってきました。
ただ、勤務先の業績が悪くなり、希望退職を募っていた際に退職し、その後、公務員の試験を受けて波田町の役場に就職しました。介護とは関係のない世界で長年働いてきました。

事業を立ち上げる思いは、公務員として働いている時からありました。特にNPO法人を設立して活躍している方の話をお聞きし、その公的な組織形態に興味を持っていました。

介護の事業を立ち上げる経緯は、父が介護認定になり、自分で病院に連れて行ったり、在宅で介護を行っていました。7年間くらいの様々な大変だった経験から、介護事業に興味を持ち、介護事業の社会的意義を感じました。この経験がなかったら、介護の世界に入ることはなかったと思います。

同じ思いを持った仲間が集まり、あんずの木が立ち上がりました。

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事業承継の問題に出口が見つからず、何か方法はないかと仲間と頭を悩ませる

-後継者探しを始めようと思ったきっかけについて教えてください。

思えば、立ち上げ当初は日々の業務に精一杯で将来、事業を誰に引き継ぐかということは考えていませんでした。

創業から12年が経過し、日々頑張ってきましたが、寄る年波には勝てず、限界を感じていました。事業を引き継いでくれる後継者を考えなくてはと理事の中で相談をしました。しかし、引き継いでくれる人間がおらず、職員の雇用維持、利用者様へのサービス維持を考えると廃業もできない状況でした。理事で検討したけれど、良い案がでませんでした。困っていたところ、2019年の夏に成迫会計事務所の担当者さんからM&Aの話があり、M&A事業部の山口さんを紹介してもらいました。

M&Aという手法は知っていたけれど深い知識はありませんでした。山口さんからM&Aに関する流れの詳細や仕組みについて教えてもらい、検討してみようという考えになりました。

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秘密保持に神経を尖らせて、慎重に準備をする日々

-M&Aの準備が進んでいく中で、期待していたこと、注意していたことは何ですか?

期待していたことはやはり、良いお相手が現れることです。ただ、自分が納得できる方が現れるまで時間が掛かっても仕方ないと思っていました。

注意していたことは、情報漏洩です。事業を継続して運営している中で代表者である私が退任を考えていると分かったら、職員の士気が下がり、大事にしていた利用者様へのサービスの質が低下してしまう可能性があり、それだけは避けなくてはいけないと思っていました。また、事業所はとても開放的なスペースであるため、話している内容が全て筒抜けになってしまう状況ですので、山口さんとの面談は職員、利用者様がいなくなった18時半以降か成迫さんの事務所にお伺いして話をしていました。

資料の回収も、一度に集めずに時間をかけて、怪しまれないように進めていきました。
本件は、理事の中だけで内密に話をしており、妻にも相談をしませんでしたね(笑)

自分の想いを継いでくれる方が現れた

-いよいよ、譲受候補先の方が現れましたが最初お会いした時のご印象はいかがでしたか?

とても、好印象でした。あんずの木と同規模の介護事業を行っている方で、年齢が若く、精力的でかつ運営経験が豊富だったのでぜひお願いしたいという思いがありました。また、ご自宅が事業所の近くで共通の知り合いもいたので、地域に溶け込むのも早いと感じました。

-この方に譲ろうと決めたポイントはなんですか

引継いでもらう条件でお話していた

  1. 理念を大事にして欲しい。
  2. 家庭的なアットホームな事業所を引き継いでくれる方
  3. 利用者様にいままで以上のサービスを提供して欲しい。
  4. 利用者様のサービスを確保するために職員を継続して、同条件で雇用して欲しい。

これらを全て受け入れてくれたことですね。

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-M&Aが実現するまでに苦労した点はなんですか?

どなたかに引き継ぐにしても、事業所を運営していくために人材の確保が欠かせない要素になりますが、諸事情があり、退職者が出てしまいました。

中途半端な引継ぎをしたく無かったので、お譲りするにしても良い体制を作らなくてはいけないという責任感があり、採用に必死でした。物事は、思ったように進まないというのが常ですね。ただ、こちらの事情を譲受先の方が理解し、寄り添ってくれて助かりました。

-無事、引継ぎができましが、成約式当日はどんな思いでしたか?

正直、あんずの木が自分たちの手から離れることが現実的になるんだなと実感し、さみしい気持ちになりました。一方で、ここまで運営してきたことを客観的に見て、自分で自分をほめてあげたいという気持ちもありました。今まで本当に忙しく、働いてきました。

成約式の中で、仲間からの感謝の手紙があり、結婚式さながらのサプライズがありました。
この十数年間が報われたと実感し、思わず涙がこぼれました。

-買い手さんに期待することは何ですか?

あんずの木を末永く運営していって欲しいです。職員が良い環境で働き、利用者さんが心地よく過ごせるサービスを提供して欲しいです。

これからは、自分、家族のために、楽しみを増やしていく時期に

-古畑さんは、引退後どのように過ごされていますか?

今は、土曜日に山に登ったり、家の事をやったり、のんびりと過ごしています。
この1年間は充電期間にしたいですね。来年は町内会の会長が回ってくるんです。
町内会の会長は仕事をやりながらは難しいので、結果として引退のタイミングは良かったですね(笑)

一人ではできなかったM&Aの実行

-弊社のアドバイザーの支援はいかがでしたか?

本当によくやってくれて、感謝しています。初めての事で右も左もわからなかったので、私たち素人ではM&Aを実現することはできなかったと思います。また、自分で相手を見つけてきても、専門的なことが分からず、うまく引き継ぐことができたか分かりません。やはり、専門家の皆さんのアドバイスがあり、本当に助けてもらいました。

また、手続きだけはなく、思いを聞いてくれて、その思いを大事にしてくれる支援は顧客の心に寄り添っていると強く感じました。本当に良い経験をさせてもらいました。

-最後にM&Aの経験を踏まえて、他の経営者に伝えたいことはありますか?

M&Aを検討するにあたっては、その道の専門家としっかりと腹を割って話をして、自分の希望する条件、思いをしっかりと伝えることが重要だと思います。また、同様に譲受先とも腹を割って話をすることでお互いの信頼関係を築くことができると思います。

私が感じたことは、まずは相談してみる、行動を起こしてみることが重要だと思います。