成約インタビュー

お世話になった上司に背中を押され、独立承継開業へ

interview001_img01.jpg

大阪のご出身ながらも、事業譲受で松本市にIターンして梓川ききょう薬局を承継開業(M&Aでの事業譲受)した奥村夫妻。
さらにその後、もう1店舗を事業譲受され、現在2店舗を経営される奥村様に、事業譲受の背景やそのメリット、そしてこれからのことについて伺いました。

お世話になった上司に背中を押され、独立承継開業へ

―奥村様が承継開業したのは26歳の時だそうですが、薬剤師としては26歳での独立は異例の早さだと伺いました。開業はいつごろからどのようなきっかけで考えるようになったのか、ぜひお聞かせください。

奥村様:
実は最初は、開業ではなく医学部に入り直そうと考えていました。準備期間を2年間と決めて、働きながら準備していたのですが、入学まで至らなかったので、次のプランを考えていたときに妻に独立開業を勧められ、案件を探し始めたのがきっかけです

―開業するなら早い方がいいというお気持ちはございましたか?

奥村様:
それは特に考えていなかったですね。しかし、大阪と三重で薬剤師として異なる企業の薬局3~4店舗で勤務した経験があったので、薬局の運営なら自分にもできるとは思っていました。ただ、経営の経験や知識はなかったので、それが心配でした。

そこで、最初に薬剤師として勤務した薬局で非常にお世話になった専務がちょうど当時独立されて1年ほどでしたので、相談してみたのです。そうしたら、「経営なんて、心配しなくても大丈夫だ。やってみろ」と背中を押してくださって。

開業に踏み切ったのは、専務のこの一言がとても大きかったです。専務と出会っていなければ、おそらく開業することはなかったでしょう。専務とは今でもつきあいがあり、相談にものっていただいています。私にとっては人生の恩師というか、もう一人の親のような存在です。

interview001_img02.jpg

地元の大阪か、Iターンの松本か... 
北アルプスの景色に魅了され、松本での承継開業を決意

―開業を検討されていた時は、三重にお住まいだったそうですが、縁のない長野で開業することになったのは、どんな背景があったのでしょうか。

奥村様:
開業する土地にこだわりはなく、どこでもよいと考えていました。その時に、当時登録していたバトンズ(リクルートメディカルキャリア経由)から成迫会計グループの藤牧さんを紹介していただき、高嶋薬局(梓川ききょう薬局の前身)を知りました。

―まさに偶然のご縁だったのですね。開業するにあたっては、最初から事業譲受を考えていらっしゃったのですか。

奥村様:
いえ、事業譲受と新規で自分でゼロから立ち上げるのと両方の可能性を考えてリサーチしていました。そんなわけで、最初に案件の話を聞こうと思った時も非常に軽い気持ちでしたので、会計事務所の方(藤牧さん)が説明してくださると聞いて、「これは軽くないぞ」と驚いたくらいです。

しかし調べてみると、薬局業界は飽和状態なので、自分で新規で始めるとなると、ドクターを探すところから始めないといけないとわかりました。それは大変ですし、リスクも大きいので、承継開業で基盤を譲り受けてスタートするほうがリスクがずっと少ないと判断しました。

さらに、M&Aといっても譲渡の提示額は様々で、この店舗は所有者の高嶋先生が「(お店にある)薬代だけでいい」とおっしゃってくださり、非常に良心的な価格でした。そんな経緯で、事業譲受を決めました。

interview001_img03.jpg

―他に事業譲受を検討されていたM&A案件もありましたか。

奥村様:
はい、実は大阪でお世話になった専務からもM&A案件をご紹介いただいていました。その薬局は、急な開業を迫られてはいましたが、土地勘もある大阪にあり、収益としては大きな収益が見込める案件でした。

お世話になった専務からの紹介ということと、地元の大阪での開業も魅力ではありましたが、とにかく高嶋先生がとてもいい方で...。加えて、下見に長野に来た時にとても天気が良く、白馬連峰があまりにきれいだったので、その景色に惹かれて「ここにしよう」と決めました。

―地元よりも、アルプスの山に惹かれてのIターンだったのですね。初めての土地で不安はありませんでしたか。

奥村様:
全く心配はありませんでしたね。高嶋先生や藤牧さん等、成迫会計グループの関わる方がみんな「どれだけ人がいいんだ」と思うくらい、本当に良い方ばかりでしたから。

事業譲受から数年たちますが、高嶋先生は今でもよく店舗に来てくださって相談にのってくださいますし、リンゴをおすそ分けしてくださる患者様もいらっしゃって、周りの方々が本当に温かいです。もう1つの選択肢だった大阪は地元ですが、こうした人の温かさとはまた違う風土なので、長野で開業してよかったと思っています。

万全のサポート体制で
初めての土地、初めての開業でもスムーズに

―奥村様は、12月に事業譲受を決められてから翌年3月に開業と、非常にスピーディに準備を進められたと伺っています。

奥村様:
早かったですね。私は初めての開業でしたが、成迫会計グループの皆さんがわからないことは丁寧に教えてくれて、気になることも全てすぐに調べてくださり、事業計画から資金調達まで、何から何までサポートしてくださるので、スムーズに進みました。

ーそれでも三重県にお住まいで、長野県での開業は、開業準備も大変ではなかったでしょうか。

奥村様:
仕入れ先など、開業に必要な情報収集もすべて成迫会計グループの皆さんにお願いできたので、大変ではありませんでした。その手厚いサポートがあったからこそ、縁もゆかりもない土地でスムーズに開業できたと思います。

特に資金調達については、私が全く関係性のないところから金融機関に話を持っていくよりも、地元の金融機関にネットワークがある会計事務所にお任せしたほうがはるかに話が早いので、本当に助かりました。当時、平日は薬剤師として働いていましたので、長野には2回くらいしか来ていませんが、それでも開業まで不安はなかったですね。
「開業したい」という意思と必要な意思決定さえすれば、それ以外に必要な事業計画や資金調達はすべて丸投げといってもいいほどお任せできたので、とてもありがたかったです。

M&Aの仲介手数料は、自分でゼロから起業することに比べたら、一見コストがかかるように見えるかもしれませんが、後継者不足により譲渡したいケースでは、価格が抑えられていることもあります。さらに、こうした手厚いサポートもあり、自分だけではできない部分を補ってもらえます。

事業譲受のM&A案件には、お客様(患者様)もすでについてくださっていますし、開業までのサポートも万全なので、私のような若い世代には事業譲受での開業は、とてもおすすめです。実際に友人にも、「M&Aいいよ」と勧めています。

interview001_img04.jpg

―「薬局の運営はできるけれども、経営に不安があった」とおっしゃっていましたが、その経営面のサポートが万全だったのですね。

奥村様:
まさにその通りです。それに、買い手にとって本当のメリットは何かを考えた上で、案件を勧めるだけでなく、やめた方がいいことはきちんと言ってくれるのでとても信頼できます。

実は、この梓川ききょう薬局の次に購入を考えていた案件もありました。長野県は薬剤師不足が深刻なのですが、その案件は薬剤師がたくさん勤務していて、自分がお店に立たなくても運営していけるような店舗でした。私も妻も事業譲受に非常に前向きで、背中を後押ししてもらいたくて成迫会計グループさんに相談したのですが、全力で止められました(笑)。

会計上の数字をよく見れば、その薬局は赤字が出ていて、それがプラスに転じるのは十数年後にもなってしまうと。私たちは会計上の数字の見方がわからなかったので、非常に勉強になりましたし、「経営上良くないことは、良くない」ときちんと言ってくれたおかげで、リスクを避けることができました。

独立した今は楽しくて仕方がない
今後はさらに経営を学び、運営基盤を固めたい

―実際に、独立されてみていかがでしょうか。

奥村様:
すべてのことを自分で決められて、自分がルールで、自分で店舗運営をデザインできる。上司からのプレッシャーもないですし、今が楽しくて仕方がありません。開業後に経営の勉強も始めたのですが、それもおもしろいですね。長野県の薬剤師会では、20代で開業したのは初めてだと言われましたが、早いうちに経営を経験できてよかったと思っています。

―奥村様はもう1店舗、薬局を事業譲受され、薬局を2店舗経営されていらっしゃるそうですが、今後は事業をどのように発展させたいと考えていらっしゃいますか。

奥村様:
梓川ききょう薬局は私が管理し、もう1店舗は妻が管理しています。今後正社員を採用し、信頼して任せられるようになったら、次の店舗も検討するかもしれませんが、まだ先になりそうです。

それに、薬局業界は大手企業のM&Aが盛んなので、次は私が事業譲渡する側になるかもしれません(笑)。経営を学び、業界動向を見極めながら、しばらくは自分の目の届く規模の店舗をしっかり運営していきたいと考えています。

interview001_img05.jpg