成約インタビュー
親子二人三脚で更に成長するグループへ
従業員やお取引先を守るためにM&Aは重要な選択肢の一つ
―貴社の沿革について教えてください
堀内社長:
「株式会社ワイドデンタルは昭和56年に創業いたしました。信義仁(約束を破らない、正しいことを行う、思いやりの精神)を行動指針に掲げ、本社のある松本市を起点とし、長野市、山梨県甲府市、東京都と、徐々に事業規模を拡大してきました。現在では、取引実績のある医院は500件を超え、60名を超える従業員が在籍しています。」
―経営や組織を拡大していく上で大切にしていることはなんでしょうか?
堀内社長:
「従業員の満足、お客様の満足、会社の満足のバランスをとることです。会社の満足とは例えば、設備投資(機械化、システム化など)や人の集まりやすい環境にすることだと考えています。また、組織を拡大するにあたっては、属人的な要素を極力なくして標準化していくことが大事だと思っています。また、お客様や従業員を守っていくことは経営者の責務と考えていますが、そのためには事業継続が前提です。M&Aを活用し次の経営者に事業を承継することにより、それらが実現できると思いますし、地域経済への貢献にも繋がると考えています。」
東京での営業基盤強化と今後の事業承継を踏まえM&Aを活用
―貴社がM&Aを検討したきっかけは何でしょうか?
堀内社長:
「当時、懇意にしていた歯科用特殊金属卸の営業の方からの情報がきっかけです。 2021年の夏頃に譲渡企業の社長が体調不良になり、満足な仕事や営業ができていないことを伺いました。そこから、洸所長が東京で営業をしたり、東京の仕事を弊社で受注したことで、譲渡企業との関係性が始まりました。」
洸所長:
「当初からM&Aも視野に入れてはいましたが、しばらくは外注先と受注先の関係でした。自身は2021年冬頃から譲渡企業の営業として動いていましたので、お客様のことはある程度把握ができていました。その後、東京に歯科技工所を置く方針となったため、改めて堀内社長からM&Aのお話を譲渡企業の社長に持ちかけたことが具体的なきっかけだったと記憶しています。」
―今回のM&Aの目的はどのようなものだったのでしょうか?
洸所長:
「東京でのお取引先の拡大、歯科技工所の確保、営業基盤の強化です。自身が東京で営業をしている中で、売上を伸ばしながら、人材採用を同時に行っていくのは難しいと実感していました。歯科技工所を保有することは今後、歯科技工士を採用していくにあたりアピールになりますし、お客様からの信頼度も高まると考えていましたので、その打開策としてM&Aを活用しました。」
―今後の洸所長への事業承継も視野に入れたM&Aでもあったと思いますが、そこにはどのようなお考えがあったのでしょうか?
堀内社長:
「洸所長は創業者ではないため、一から会社を立ち上げる経験はできませんが、今回のM&Aによって会社を譲り受け、従業員やお客様との関係を構築し、会社を運営していくことが、今後経営者としての糧になると思っています。」
―その点に関して、洸所長はどのように感じられていましたか?
洸所長:
「堀内社長の想いは感じ取っています。ワイドデンタルの経営に携わる前に、まずは東京で営業基盤を構築し、経営者としての経験を積んだ後に、後継者としてワイドデンタルに戻ってきたいと考えています。」
―M&Aを進めるうえで不安な点はございましたか?
堀内社長:
「正直なところ、一緒に経営をしていないので、経営状況や財務状況、お客様、従業員等分からないことだらけでしたので、不安はありました。また、大規模なラボと小規模なラボではやり方が全く違うため、M&A後に従業員が残ってくれるかどうかも懸念点でしたね。」
洸所長:
「お客様とのお取引は継続いただけると思っていましたので、そこまで心配ではなかったのですが、社長と同じく、従業員の方が残ってくれるかどうかが非常に心配でした。」
堀内社長:
「ただ、我々だけでなく、譲渡企業の従業員の方も当然不安であったと思います。そもそも会社の生い立ちが違いますからね。弊社の経営方針やビジョン、中期経営計画やM&Aをした理由などをしっかりと時間をかけて伝えることで、譲渡企業の従業員が弊社の会社組織に馴染めるように配慮していきたいと考えています。働き方についても、自身の歯科技工士の仕事に専念できる体制としたいですし、部下の育成等により会社としてのグループ力を向上させることで売上に寄与していただきたいとも思っています。また、今後はより働きやすい職場環境作りの一環として、東京の技工所のリフォームも検討しています。」
親子二人三脚で更に成長するグループへ
―今後、東京ではどのような取り組みを行っていくのでしょうか?
洸所長:
「地方と東京は違う市場ですので、ワイドデンタルの従来のやり方を全て踏襲するのではなく、人材採用や給与形態等柔軟に検討し、東京の市場に合った運営、営業の仕方を確立していきたいです。例えば、現在の営業はルート営業に近い形になっているのですが、そうではなく、顧客の課題解決ができるような先端的な営業をし、独自の営業色が付けられるようにしたいと思っています。また、それをグループ内でよりより営業スタイルとして確立していければと考えています。」
―今後、営業の方や歯科技工士の方のマネジメントも担うことになると思いますが、その点はいかがでしょうか?
洸所長:
「経営者としてマネジメントを行った経験がないため、当然不安はあります。探り探りにはなってはしまいますが、まずは目の前のことをしっかりこなし、会社を成長させていきたいと考えています。」
―弊社のサポート体制はいかがでしたでしょうか?
堀内社長:
「M&Aは初めての経験で、何をどうしていいかわからない中、スピード感をもって対応していただきました。M&Aは進めていく過程で様々な論点が生じてきますが、迷いだしたら結論が出ない。交渉範囲や期限等をしっかりと決め、引っ張っていただいたと思います。また、こちらからの不明点や疑問点に対して、適切かつ迅速に回答をいただけたことも良かったです。」
洸所長:
「M&Aは初めてのことなので、右も左もわからない中、契約書の作成も含めしっかり先導をしていただき、大変ありがたかったです。」
堀内社長:
「事業を展開する際、新たな拠点を設け、人材を採用し、経営を軌道に乗せるためには、お金と時間はどうしてもかかってしまいますが、それを解決できる方法はM&Aだと思っています。弊社と同じ考えを持った同業者の方がいらっしゃれば、今後もM&Aの活用を検討していきたいと考えています。」
―堀内社長から、今後会社を経営していく洸所長へ一言お願いいたします!
堀内社長:
「自分の器量以上に会社は大きくならないため、自分の器量を広げていくことが大事ですが、簡単なことではありません。M&Aは自身の器量を大きくするよいきっかけだと考えています。私は創業者のため、経営課題はたくさん訪れたものの、順々にやってきましたので、都度クリアをしていけばよかったのですが、洸所長はそれらが一気に順序なくやってくると思います。その点は苦労すると思いますが、逃げずにチャレンジをしていってもらいたいです。また、今回のM&Aは第二創業のような位置づけでよいと思っています。従来のやり方を引き継ぐものと引き継がないものを線引きし、新しいものは取り入れて、自身でよりよい経営の仕方を探っていってもらえればと思います。」
―洸所長、最後に意気込みをお願いいたします!
洸所長:
「無事にM&Aの成約を迎えられましたが、ここからが本当のスタートだと思っています。成迫会計グループのお力を借りながら、よりよい会社としていけるように、しっかりと頑張っていきます!」